アメリカザリガニの話

 リニューアル前のブログにも掲載したことはあるのですが、改めてアメリカザリガニの話です。その頃とは、状況も変わっていますね。

 

 現在、アメリカザリガニはミシシッピアカミミガメと共に条件付外来生物に指定されています。詳しくは環境省のHPなどをご覧ください。

 環境省HPより>> https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/regulation/jokentsuki.html

 

 ではでは、今回話題にしたいのは、なぜ安春川にアメリカザリガニがいるのかという話なのです。もともと、アメリカザリガニは冬の寒さには弱く、水温がとても低くなる北海道の冬は越せないとされています。

 

 ネットで調べてみますと、5℃近くで活動停止という情報が多いです。札幌市豊平さけ科学館の研究報告によると、酪農大学生との共同調査や同校卒業論文より、アメリカザリガニの生息下限水温は1.1℃と捉えています。水温と捕獲調査によっても、水温が0度を下回る河川ではアメリカザリガニは捕獲されなかったようです。(いない、もしくは、分布密度が低いと考えられるそうです。)

 さけ科学館研究報告より(2011)〉〉 https://salmon-museum.jp/2012/05/29/1637

 

 寒さの厳しい北海道では、アメリカザリガニの生息条件には合わないようです。

 

 では、なぜ安春川にアメリカザリガニが生息しているのか。

 

 それは、安春川には下水の高度処理水が流されているからです。高度処理水は10℃近くの水温があり、アメリカザリガニの生息下限の水温より下回らないからだと考えられます。さ実際、先日(12月始め)に安春川の水を触ると、思った以上にぬるくて驚きました。

 札幌市には安春川のように下水の高度処理水を導水し、せせらぎの回復をしている河川がいくつかあります。また、高度処理水の水温の影響を受ける河川にもアメリカザリガニの生息が確認されているようです。

 

 せせらぎの回復や、流雪溝への高度処理水の利用は意味のあるものだと感じます。しかし、それによる生物への影響もあるようです。

 

 

 今回、条件付特定外来生物と指定され、札幌のアメリカザリガニを根絶するならば、この下水の高度処理水の導水をやめるか、その水温を下げて流すことなのでしょうか。いずれにしても、難しい問題なのかもしれません。

****その他参考資料****

札幌市のホームページ:水道局のページより

雪対策事業 https://www.city.sapporo.jp/gesui/01yakuwari/03_genkyo07.html 内

「雪対策下水道事業パンフレット」流雪溝について https://www.city.sapporo.jp/gesui/01yakuwari/documents/yuki_shisetsu1.pdf